SSブログ

書楼弔堂 探書参 方便 [京極夏彦]

小説すばる2012年12月号掲載
tomuraidou03.jpg
1ヶ月遅れての掲載。
かなり好きになってきたシリーズなので今年中に続きが読めて良かったぁ('∀` )


休職していた高遠。
彼の勤め先である煙草会社がいよいよ店を畳む事となり
雇い主だった山倉との送別会にと流行りの女義太夫を見た帰りぎわ、
山倉が顔見知りの五十代の紳士と遭遇する。
彼の名はかつて不思議巡査の二つ名で幾つもの怪事件を解決した
矢作剣之進。

15年前の明治10年に矢作は警官、山倉は儒学者 由良公篤の塾生として
由良卿百物語怪談で起きた事件現場で顔を合わせていたからだと語る山倉。
現在の剣之進は警察を辞めて
哲学館(のちの東洋大学)で学生をしており、
心から師の井上円了を心酔していて彼の魅力を熱弁する。
再会の帰りの道すがら書楼弔堂へと高遠が足を向けるとすでに先客が訪れており
その老人はすでに隠居した勝海舟。
勝の剣の師匠と弔堂店主の禅の師匠が同門の縁で二人は知人なのだそうで
勝は店主に親交のある井上円了へどうか知恵を授けてやって欲しいと頼むのだけれど…。




今回の弔堂のお客は妖怪博士こと井上円了(゚∀゚)やっぱりきましたか!
巷で語られる怪異・妖怪のほとんどは迷信、誤認であって科学知識で説明できると否定する為に
膨大な文献を収集読破し実地調査に日本全国に訪れたのに
常に妖怪を側に置いてた不思議な人でもある円了。

その彼に方便の記号として鳥山石燕の画図百鬼夜行との出会いを
取り持ったのが書楼弔堂だとはなんとも痺れる展開!!
これまでの円了の奇妙な行動原理の謎が解き明かされて実に衝撃的でした。

変人ぷりの描写がユニークな円了の他にも
年老いてもなおカッコイイ江戸っ子気質の漢ぷりを魅せる勝海舟の登場や
京極作品好きとしては「後巷説百物語」の矢作剣之進、
「陰摩羅鬼の瑕」の由良家にまつわる「風の神」関係者が現れたり(・∀・;)もー、由良家リンクしすぎでしょ
この作品も他シリーズと連続している同時間軸の世界観だと判明したりと
既読ファンにはもう嬉しいサプライズがたっぷりで読み応えがありました
お腹いっぱい大満足(´∀` )

それにしても作品の枠を超えて剣之進の再登場にはホント驚かされましたよ…
後巷説では結果的には活躍していたのに出身地とイロモノ扱いで疎まれてて
結果あまり出世できなかった、というのはなんとも切ないかぎり
(´・ω・` )楽しそうに学生してるのが救われるけど…


あと勝海舟の剣の師といえば島田虎之助の事だと思うけど
彼の同門で禅の関係者となると流石にわからないですねぇ…というか実在の人物なのかしら?
弔堂店主の還俗した理由が語られるけど更に謎が深まった感じです。


さて、3話まで終えてこの作品は明治25年を舞台にした
実在の妖怪関係者モノの認識でよいみたいです。
とすると、単行本の書き下ろしでは40年程時間すっ飛ばして
老境の弔堂が少年水木しげる、もしくはのんのんばあと邂逅!
とかやってくれないかしら(゚∀゚)京極堂ぐらいではもう驚かないかも(えー


nice!(1)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 1

コメント 1

夏音

>シマリスさん
nice!ありがとうございます
by 夏音 (2012-12-09 23:31) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。