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彼女の血が溶けてゆく 浦賀和宏 [小説・漫画]

赤血球が溶けてしまう「溶血」の治療をしていた綿貫愛が甲斐なく亡くなった事で
主治医を担当した内科医の聡美、病院に責任があると遺族が訴えている。
聡美の離婚した元夫でフリーライターの銀次郎は
まだある未練から聡美を窮地から救う手段として患者側の落ち度を
何か見つけだそうと綿貫愛の知人達へ取材を試みるのだが…
彼女の血が溶けてゆく01.jpg
文庫書き下ろし。
これまで痛々しい血みどろな描写やカニバリズムやルサンチマンな物語で良くも悪くも
非常にクセがある浦賀さんの作品にしては驚くほどおとなしく話が進む本作。


医療用語と専門的な知識で読者には推理の幅を広げにくい展開だなぁ
…とちょっと拍子抜けして読み進めていたら、
溶血になった原因の謎解きをメインと思わせて婚姻や離婚での改姓を仕掛けに使った良作。
しっかり狂気と絶望と儚げな優しさと悪意が静かに潜む浦賀節!
これなら他人に進めてもドン引きはされないですむw


ミステリー的には相関図書きながら読むので
真犯人の思惑は途中でわかったけどもっと早い段階で
岸健が一回顔見せしてたら最後もっと驚けたかも。

あと、複雑な人間関係に翻弄される展開が面白い作品なのですが
読み終えて満開の桜の表紙を見返してみると
個々に咲いてる花の枝の元をたどると同じ枝から発生してる姿は
今作での血縁関係をめぐる家系図を暗喩したものなのかなと思えてきました。
あと、秋葉輝彦の結婚相手は聡美
同一人物トリックの伏線看破したつもりでいました私(ノ∀`)アチャーハズレ



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