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書楼弔堂 探書伍 闕如 [京極夏彦]

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小説すばる2013年5月号に掲載
「闕如」が読めなかったのが悔しい(´∀`;


桜が散った頃、高遠は顔見知りの書店員から
当時はまだ若手の泉鏡花、尾崎紅葉、江見水陰、田山花袋らを通じて
高遠に会いたがってる青年作家がいるのだと聞かされる。
彼はずっと探し求めている洋書があり書楼弔堂へ連れて行って欲しいのだと云う…


今回の書楼弔堂のお客は巌谷小波(いわや さざなみ)。

桃太郎、浦島太郎、花咲かじいさんなどの口碑民話や
旧字体で書かれ読み難い書物に収録されていたお話を収集し
そのままでは歴史に埋没していく「物語」を子どもでも読める「おとぎ話」へと
翻案再生する事で世に広め近代児童文学を開拓した功労者。


文字を読めるのは武家や極一部でしか無かったこれまでの日本と違い
子供でも読めるようになった新しい明治の世でこそ
真に子供達をターゲットにした小説を書くべきだと巌谷小波が探していた
オットー・フランツの「Der Jugend Lieblings-Märchenschatz (少年少女のためのメルヒェン集)」
の美品とその付録にと日本古来の物語や説話を集めた
「御伽草子」二十三冊をドンと渡し、
小波に児童文学へ踏み出させる道を照らした弔堂が実にカッコイイ!


あと、若い遊女おまめにハマり廓通いする主人への嫉妬の果てに自宅を放火し
焼死した妻の幽霊をおまめが見るようになって病みだし床に伏せだして
年季もまだ開けないけど里に帰った後、
そのおまめ飼っていた猫をしばし預かる事になった高遠宅へ訪れた小波が
猫を見て猫は嫌いだという描写がちょっと面白かったですw
(・∀・)動物を擬人化した物語を多々残してるのにね

にしても、おまめの廓抜けエピソードはなんだか巷説シリーズの妖怪仕掛けにも
思えてくる…今後の伏線なのかしら(´∀` ;)巷説新作読みたい




これで5話目なので雑誌連載はここまでで、
あとは書き下ろし1話追加して書籍化…の流れなのかな
江戸から近代へ移り変わる特異点としての明治の姿が
非常に面白いシリーズなので今後も長く継続して欲しいなぁ…



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