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百鬼夜行 陽 第拾八夜「雨女」と「八百人の子供の首を斬り落とさなければならぬ程。」 [京極夏彦]

百鬼夜行 陽 第拾八夜「雨女」
オール讀物2011年1月号掲載
百鬼夜行 陽 雨女.jpg
京極堂シリーズのサブエピソード集「百鬼夜行 陽」
第18話目の「雨女」は雨の日に女を助けようか迷っていると、
泥濘に映っては善行を強いる女の顔それに悩む「邪魅の雫」に登場した三下ヤクザ
赤木大輔と宇都木実菜の話。

「邪魅」では唐突に実は正義漢なのだったと書かれて疑問だった
赤木の性格が幼少期から出来上がっていく過程が描写されてて面白い。
悪い人じゃないけど結果は上手くいかない人だと理解できると
「邪魅」もまた違うように読めそうです。


あと、新たに「先生」と呼ばれる老浮浪者が登場してるのが気になる所。
>平塚界隈を根城にして物乞いなどをしている六十過ぎの老人だ。
>戦前、何かの学校で師範をしていた人らしい。
>リウマチが酷いと云っていた。
短編なのに特徴ある設定がもう妖しすぎw
端役でも別作品へリンクする京極小説では続編「鵼の碑」への
何かしらの布石に思えてしまうから怖い('∀`;)これはむしろ呪い…

おそらくオール讀物への連載はあと1話掲載で単行本化されるはず。
だからといって「鵼」が出る訳でもないのだけど早く読んで楽になりたい
…なれないんだろうなぁ当分は。




あと、「小説新潮」2011年1月号の創刊800号記念の特集で
原稿用紙二枚、800文字というしばりで88人の作家が執筆した
「八百字の宇宙」という企画にも京極さんが参加されてました。
八百人の子供の首を斬り落とさなければならぬ程。.jpg
掲載されたのは「八百人の子供の首を斬り落とさなければならぬ程。」
なんて長くて物騒な題名(^_^;)うーん
短編でも60頁、80頁は当たり前な京極さんがたった800字で書いた
深い後悔と心のゆらぎはしっかり京極小説してて読み応えありました。


まだ全部は読み終えてないけど他には
宮部みゆきさんと小説新潮とのこれまでのかかわりを
パソコンが付喪神のように語り出す体裁で温かい謝辞を書いた「うちのパソコンの呟き」。
宮部みゆきうちのパソコンの呟き.jpg

一見、手抜きのようでいて稚気あるトリッキーな作品の
有栖川有栖さんの「矢」などが特に面白かったです。
有栖川有栖矢.jpg
各々作家さんが工夫を凝らした作品達を月刊文芸誌のいち企画で終わらすのは
ホントもったいない!
しっかりとした装丁でいつか書籍化されないかしらー




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コメント 2

kohtyan

1月号は、面白い企画ですね。
新潮の800号の800字というのは、興味あります。
読んでみたいです。
by kohtyan (2010-12-25 21:34) 

terry

おひさしぶりです。
宮部さんは私もよんだことありますよ。江戸時代の捕物とか霊とか。楽しめました。

by terry (2010-12-26 21:18) 

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