「死ねばいいのに」 京極夏彦 [京極夏彦]
講談社の京極堂シリーズが
文藝春秋に移行してからの講談社での新シリーズ。
小説現代３月号掲載。
死亡した派遣女子社員、鹿島亜佐美。
彼女の上司だった山崎部長。
亜佐美の事を聞きたいと山崎の前に現れた
毛だらけの襟のジャケットを着た若い男とのファミレスでの会話劇。
彼は亜佐美とはさして面識が無いようのに
何故か山崎と亜佐美の浮気の事実を
彼女から聞いたと言い、秘密であるはずの浮気証拠メールについても
詳細まで知ってて彼女の死後に処分したと言う。
以下、ネタバレとメモ
家族や部下に上司にと軽んじ蔑まれている苛立ちという
４０代管理職の男の切実なありがちなそうな悩みと
亜佐美との浮気を隠す事に対して
よくワカンネーけどソレ仕方ないで済ますのっておかしくね？
と軽蔑まじりにそして「死ねばいいのに」と畳み掛けていくのを
会話だけで読ませるから残酷。
でも、最期に語る一言によって山崎の心を救ったという結末の
読後感が不思議な話でした。
30ページ足らずの作品なのにさすが京極作品、読み応えがあります。
メモ。
多分、主人公である若い男「健也」は高卒無職、バイトも解雇という状態。
本人の語る別にやりたい事ないから、の台詞を若いからで済ますのは早計そう。
自分を猿並と言い、口調はタメ口だけど悪気は無く
意外と気を使ったり、「～ンすか？」という口調がなんだか
ジョジョ第四部の「東方仗助」を想起しました。
自分を馬鹿と言ってる割に、物事の確信つくのは話術でなく
素直な思考からくる天然系みたい。
この作品は天然で健也が語る
いっそ「死ねばいい」ような状態に堕ちかけた人の
心の「憑き物」を落とすスタイルなのかしら。
そして亜佐美から聞いて二人の浮気のやりとりのメールを
死亡後に削除したという件。
まるで幽霊から聞いたイタコ霊媒能力と思うけど、
京極小説の世界では
基本的に幽霊霊魂、念力超能力は存在しないので
死者の、あるいは物体の記憶の残留思念を感知するいわゆるサイコメトリー能力者？
彼が妖怪「覚（さとり）」になるのかな。
そうすると、面識はないのに数々の秘密を知っているという
不思議も解決できるんですよねぇ。
親が離婚してると語り、作中ではまだ姓が不明なので
ひょっとしたら榎木津礼二郎の血筋の可能性も？
他人の記憶が見える礼二郎に対して記憶が聞こえる健也。
（1回目読む限りでは山崎の心と今も霊が見えているような描写は無いし）
あらゆる作品をリンクしまくる京極さんならありえなくもないなぁ…
「ぬらりひょんの褌」だと榎木津は現代でも富豪として生きてるみたいだし。
他人でもいつか接触して欲しいです
続きが楽しみです！
でも他の作品がなぁ('A`)今回、官能小説特集…
巻頭グラビア（？）
相変わらず黒いです京極さん。
モノクロ写真がさらに黒く見える
巻末のイラスト
芸人の光浦にも見えなくもないけど
不機嫌な顔と小さい感じちょっと似てますｗ
｢死ねばいいのに｣のタイトルは音楽から
京極:あるときK城さんからCDを渡されて｢いつかこういう話を書いてください｣と
言われたんですよ｡そんな依頼する人も珍しいなと思って聴いて｡
で､｢これってさ､つまりは『死ねばいいのに』って事だよね?｣と､聞いたら｢そうです｣と言うし(笑)
K城:一度聞いたら忘れられないであろう､そのひと言がよくて､そのままタイトルになりました｡
ただですね…｡
京極:メールの件名がね(笑)｡
K城:毎回｢死ねばいいのに｣ってくるのがなんとも…夜とか見たくない(笑)｡
京極:これは全六話で五回掲載､一作書き下ろしなのでK城さんには終わるまで
｢死ねばいいのに｣攻撃を我慢していただくとして(笑)｡
｢IN POCEKET 09年6月号｣より｡
創作の元になったCDがなんなのかすごい気になる…
追記 単行本読了｡
たまたま知り合った程度だった健也の｢死ねばいいのに｣の言葉を
いとも簡単に死を望み実行した鹿島亜佐美､
その不可解さに困惑していたのは渡来健也であり真に｢怪異｣に遭遇してたのは彼だった
というのが書下ろしの最終話でした｡
｢俺､馬鹿だからわかんないんすけど｣というセリフが
卑下でも話術の仕掛けでもなく本当の意味でわからなかったんだものなぁ…いや､わかる訳ないんだけど
内心怯えながら関係者達に亜佐美の人物像を問うていた心情を知ってから
二週目読むと全然違う怖さが浮かんできました｡
この続きは書けそうになさそうけど講談社での次回作はどうなるんでしょ
講談社の文庫情報誌｢IN POCEKET 09年6月号｣に
以前､徳間書店で出版した「ルー＝ガルー」の続編が講談社で出るとありましたけど…
となると既にタイトル発表済みの「インクブスxスクブス」?
あと､期待してた他作品とのリンクありませんでした(´･ω･` )残念
文藝春秋に移行してからの講談社での新シリーズ。
小説現代３月号掲載。
死亡した派遣女子社員、鹿島亜佐美。
彼女の上司だった山崎部長。
亜佐美の事を聞きたいと山崎の前に現れた
毛だらけの襟のジャケットを着た若い男とのファミレスでの会話劇。
彼は亜佐美とはさして面識が無いようのに
何故か山崎と亜佐美の浮気の事実を
彼女から聞いたと言い、秘密であるはずの浮気証拠メールについても
詳細まで知ってて彼女の死後に処分したと言う。
以下、ネタバレとメモ
家族や部下に上司にと軽んじ蔑まれている苛立ちという
４０代管理職の男の切実なありがちなそうな悩みと
亜佐美との浮気を隠す事に対して
よくワカンネーけどソレ仕方ないで済ますのっておかしくね？
と軽蔑まじりにそして「死ねばいいのに」と畳み掛けていくのを
会話だけで読ませるから残酷。
でも、最期に語る一言によって山崎の心を救ったという結末の
読後感が不思議な話でした。
30ページ足らずの作品なのにさすが京極作品、読み応えがあります。
メモ。
多分、主人公である若い男「健也」は高卒無職、バイトも解雇という状態。
本人の語る別にやりたい事ないから、の台詞を若いからで済ますのは早計そう。
自分を猿並と言い、口調はタメ口だけど悪気は無く
意外と気を使ったり、「～ンすか？」という口調がなんだか
ジョジョ第四部の「東方仗助」を想起しました。
自分を馬鹿と言ってる割に、物事の確信つくのは話術でなく
素直な思考からくる天然系みたい。
この作品は天然で健也が語る
いっそ「死ねばいい」ような状態に堕ちかけた人の
心の「憑き物」を落とすスタイルなのかしら。
そして亜佐美から聞いて二人の浮気のやりとりのメールを
死亡後に削除したという件。
まるで幽霊から聞いたイタコ霊媒能力と思うけど、
京極小説の世界では
基本的に幽霊霊魂、念力超能力は存在しないので
死者の、あるいは物体の記憶の残留思念を感知するいわゆるサイコメトリー能力者？
彼が妖怪「覚（さとり）」になるのかな。
そうすると、面識はないのに数々の秘密を知っているという
不思議も解決できるんですよねぇ。
親が離婚してると語り、作中ではまだ姓が不明なので
ひょっとしたら榎木津礼二郎の血筋の可能性も？
他人の記憶が見える礼二郎に対して記憶が聞こえる健也。
（1回目読む限りでは山崎の心と今も霊が見えているような描写は無いし）
あらゆる作品をリンクしまくる京極さんならありえなくもないなぁ…
「ぬらりひょんの褌」だと榎木津は現代でも富豪として生きてるみたいだし。
他人でもいつか接触して欲しいです
続きが楽しみです！
でも他の作品がなぁ('A`)今回、官能小説特集…
巻頭グラビア（？）
相変わらず黒いです京極さん。
モノクロ写真がさらに黒く見える
巻末のイラスト
芸人の光浦にも見えなくもないけど
不機嫌な顔と小さい感じちょっと似てますｗ
｢死ねばいいのに｣のタイトルは音楽から
京極:あるときK城さんからCDを渡されて｢いつかこういう話を書いてください｣と
言われたんですよ｡そんな依頼する人も珍しいなと思って聴いて｡
で､｢これってさ､つまりは『死ねばいいのに』って事だよね?｣と､聞いたら｢そうです｣と言うし(笑)
K城:一度聞いたら忘れられないであろう､そのひと言がよくて､そのままタイトルになりました｡
ただですね…｡
京極:メールの件名がね(笑)｡
K城:毎回｢死ねばいいのに｣ってくるのがなんとも…夜とか見たくない(笑)｡
京極:これは全六話で五回掲載､一作書き下ろしなのでK城さんには終わるまで
｢死ねばいいのに｣攻撃を我慢していただくとして(笑)｡
｢IN POCEKET 09年6月号｣より｡
創作の元になったCDがなんなのかすごい気になる…
追記 単行本読了｡
たまたま知り合った程度だった健也の｢死ねばいいのに｣の言葉を
いとも簡単に死を望み実行した鹿島亜佐美､
その不可解さに困惑していたのは渡来健也であり真に｢怪異｣に遭遇してたのは彼だった
というのが書下ろしの最終話でした｡
｢俺､馬鹿だからわかんないんすけど｣というセリフが
卑下でも話術の仕掛けでもなく本当の意味でわからなかったんだものなぁ…いや､わかる訳ないんだけど
内心怯えながら関係者達に亜佐美の人物像を問うていた心情を知ってから
二週目読むと全然違う怖さが浮かんできました｡
この続きは書けそうになさそうけど講談社での次回作はどうなるんでしょ
講談社の文庫情報誌｢IN POCEKET 09年6月号｣に
以前､徳間書店で出版した「ルー＝ガルー」の続編が講談社で出るとありましたけど…
となると既にタイトル発表済みの「インクブスxスクブス」?
あと､期待してた他作品とのリンクありませんでした(´･ω･` )残念
リンク InDoor点心 浦賀和宏さんとか子安武人さんとか
＞Morimoさん
niceありがとうございます
by 夏音 (2009-03-14 22:44)
＞kemmさん
niceありがとうございます
by 夏音 (2009-03-17 20:53)