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書楼弔堂 探書弐 発心 [京極夏彦]

小説すばる8月号掲載
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今回の書楼弔堂のお客は
尾崎紅葉の内弟子の金沢出身の小柄な書生(この時点でネタバレ)。
すでに文明開化も遠くなった明治25年の世では前時代の劣ったくだらないモノと
蔑まれていたお化けや江戸怪談を愛する自分は
先進的な文章を書く師への裏切りだと苦悩しているのちの泉鏡花

一風変わった逸話の多い人なのでエピソードを彷彿する描写に
ニヤニヤしてしまいます(・∀・)
史実の人物の生活の中にフィクションのキャラクターが関わる作品は
知っている人が出るとホント愉しい。
このまま妖怪関係者でいくのかしらー
明治25年だと南方熊楠、井上円了、小泉八雲あたりは手堅そう?
芥河龍之介は生まれたばかりだし
柳田国男なんかはまだ17才だもんなぁ(´∀`;)それはそれで見てみたい
妖怪好き建築家の伊東忠太なんかも期待したい所です
あぁ続きが楽しみ。
もう一人の主人公とも言える高遠の旦那の高遠とはやはり姓で
名はまだ不明。
読書の次に橋を渡るのが好きで形状や造型よりも
歩いた感じに主眼を置くこだわりを持つ人とのこと…うーん、鉄道ファンの「乗り鉄」みたいなもの('A`;)?
当時新造の八重洲橋は向こう側に行きたい欲求が希薄な橋だと
途中で渡るのを止めるよくわからないマニアっぷりが素敵
まだ趣味嗜好のグッ来るポイントの細かい分類分けの概念が
無い明治では単なる無為な行為でしかないというのがなんとも切ない。
現代ならブラタモリとかタモリ倶楽部のディープな放送回に嬉々としてそうだ、高遠さんw

あと、読書好きが集まってるからなのか明治ではまだ常識の範疇なのか
会話の中で「狗子仏性」「魔境」「修証一等」と禅の言葉が
あまり解説もなく登場人物達に普通に了解されているのが
既読ファンとしては驚きつつもニヤニヤが。
この時代から数十年後の『鉄鼠の檻』では
それらに心惑わされた人々によって不可解な連続殺人事件が起きるというのにー!
と身悶えてページを進めてましたw

今回、弔堂店主は鏡花のデビュー作「冠弥左衛門」創作へのヒントになったかもしれないとして
真土事件の新聞記事と大蘇芳年こと月岡芳年の錦絵を売ったのですが
書籍化の際は巷説百物語シリーズのようにカバー裏に関連書籍を印刷してほしいなぁ
この掲載ペースだとまだまだ先の話でしょうけれど。

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夏音

>シマリスさん
nice!ありがとうございます
by 夏音 (2012-07-25 22:53) 

夏音

>mayaさん
nice!ありがとうございます
by 夏音 (2012-08-04 01:18) 

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